趣味も特技も性格もバラバラな6人の女子高生たちの、様々な“応援”模様を描く青春ドラマが毎週話題になっています。
その舞台となるのは群馬県。県外の多くの人が「群馬」というと温泉街をイメージしがちですが、本作で描かれている沼田市・高崎市・前橋市は、商業施設、ビジネス街、住宅街が立ち並ぶ「みんなが住む街」といった趣です。本作ではそんな群馬県の日常の風景が描かれていることも特徴です。
代表的な観光地ではない群馬県の街を聖地とする新たなアニメが生まれたことについて、群馬県民はどう思っているのでしょうか。いや、いっそのこと、群馬県民の代表である群馬県知事にその感想を聞いてみるのはどうだろう……? と、アニメイトタイムズ編集部が取材を申し込んだところ、なんと知事から快諾いただいてインタビューが実現。
事前にアニメも視聴して作品への思い入れたっぷりの知事に、本作の感想はもちろん、アニメの聖地になることの反響や群馬県の魅力などについて伺いました!
――第3話までご覧になっているとのことですので、まずは本作を見た感想を教えてください。
山本一太 群馬県知事(以下、山本):私は66歳なんですが、週刊少年ジャンプを創刊号から欠かさず読んでいるくらい漫画やアニメが好きで、色々なアニメを見てきましたが、その中でもこのアニメはとても面白かったです。
『なれなれ』は、チアリーディング(以下、チア)がテーマですよね。以前、世界的にヒットした『チアの女王』というNetflixのドキュメンタリーシリーズがあったんです。
『チアの女王』はアメリカ・テキサス州のナバロ高校が舞台の、ものすごく強いチアリーディングチームに密着したドキュメンタリーです。このシリーズのヒットがきっかけでアメリカでもチアへの関心が高まっています。
この『なれなれ』がそれを意識して作られたのかはわかりませんが、そうでなくても世界のブームやトレンドを捉えているのを感じました。
――本作は群馬県の中でも沼田・高崎・前橋の辺りが舞台となります。群馬というと温泉街が舞台になることが多いですが、あえて本作では普通の生活がある地域を舞台にしているそうです。観光地とは違う群馬の風景をアニメで見た感想はいかがですか?
山本:第1話の冒頭から高崎駅の近くが出てくるシーンがありしたよね。高崎駅のダルマや高崎アリーナ、沼田駅のような、温泉街ではない何気ない日常の風景というのも良かったです。
あと、各キャラクターが通う学校の名前も良いですよ。「鷹ノ咲(たかのさき)高校」や「御前嘴(おまえばしこうこう)」など、高崎や前橋をもじっているのがわかりました。
――なるほど。まずはアニメ全体を通してのお話を伺いたいのですが、特に印象に残ったシーンはどこですか?
山本:やはり一番印象的なのは第1話の最後のシーン。チアの演目に関して、トラウマで飛べなくなっている美空かなたが、最後に飛べたところが良かったです。そのシーンの夕焼けも綺麗でしたよね。
あのシーンは沼田のあたりだと思いますが、沼田の「河岸段丘(かがんだんきゅう)(※)」も上手く描かれていました。いかにも沼田という感じの坂も多い風景です。
※編集部注:河岸段丘とは川沿いにみられる階段状の地形のこと。特に沼田のものは「日本一美しい河岸段丘」とも言われている。
――6人それぞれ全然違うキャラクターなのでぶつかったりもしますが、展開が進むにつれて「実はあの時こう思っていた」といった本音や葛藤がわかってくる展開も良いですよね。
山本:そうそう。だから涼葉は可愛いですよね。優しくて性格も良いのに、自分の感情を素直に表に出せなくて困っているところが可愛いんですよ。
――そのあたりのキャラクターの関係は、ゴールデンウィーク中に県内各地に掲載された“ご当地ビジュアル”のポスターにも表れていて、アニメを見た後だとポスターのペアの意味を尊く感じられるようになっていました。
山本:なるほど、そうなんですね。
――ちょうどキャラクターの話をしていただきましたが、知事の“推し”は見つかりましたか?
山本:やはり推しキャラは涼葉です。表情にはあまり出ないけど、心の中で葛藤している感じが可愛いです。
――本作もそうですが、群馬の女性は活動的で芯が強いイメージがあります。この県民性には何か理由があるのでしょうか?
山本:昔は「かかあ天下」という言葉がありました。諸説ありますが、これは群馬では女性が中心となって色々なことをやりくりしていたので、群馬の女性は強いという意味で使われていたんです。群馬の女性は気が強いというよりは芯が強く、独立心が強いというのは感じていますね。
あと、風の強い中を自転車で通学するから体力も抜群です。それもあって非常に芯がしっかりしていて、意思が強い人が多いのだと思います。
――たしかに本作でも、かなたは坂道で自転車を漕いで通学していました。
山本:風が強い中でも自転車に乗るというのは、とても群馬の象徴的な部分だと思います。
――本作のキャラクターが「そうなん」「なんなん」「あーね」といった群馬の方言を、自然に会話の中で話しているのも印象的でした。アニメから群馬の方言が聞こえた時はいかがでしたか?
山本:アニメに方言が可愛く取り入れられていて良いんじゃないでしょうか。
今の時代は随分と方言も変わってきているので、もう少し時代を遡ったり、田舎の方に行くと中々アニメでは使いづらい強い方言もあります。昔の人たちの言葉には「べ」や「だっぺ」が入っていますし、「そうか」を「そっきゃ」と言ったりする感じですから。
この作品の女の子たちが使うのはそういうのではなく、もっと柔らかい「〇〇なん」というのはすごく若者らしくて良かったです。
――第1話だけでも高崎駅のダルマや舒林寺(じょりんじ)など多くの群馬のスポットが映りました。アニメに映った風景に絞って、特に印象的だったシーンはありますか?
山本:先ほどの話とも被りますが、第1話の終わりの坂のシーンはいかにも沼田という風景で、あそこは良かったですね。
あと、キービジュアルにも写っている高崎の中央商店街は、映画でもよく使われていて、人通りは少ないけど味のある商店街で良いんですよ。
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