The protagonist of this work is Hojo Tokiyuki, who lost everything due to a rebellion by Ashikaga Takauji, a trusted vassal of the shogunate. Tokiyuki flees to Suwa, where he meets friends and overcomes the difficulties that come his way by “running away” and “surviving.”
Animate Times conducted a series of interviews that delves deeper into the appeal of this work. In the last part of the series, we spoke with Nakamura Yuichi, who plays Suwa Yorihisa. Nakamura said that when he watched the broadcast, he was particularly captivated by the beauty of the colors. He talked about the fun of this work, which challenges the unique directing style of anime, including some anecdotes from the dubbing process.
–The final episode of the anime has aired. Many things happened in the story, but looking back, what episode left the biggest impression on you?
Nakamura Yuichi (hereafter Nakamura), who plays Suwa Yorishige: The most memorable one was the first episode. In particular, the scene where Yorishige and Tokiyuki escape from Kamakura on horseback. Mr. Matsui’s works have a strong visual impact, and we tend to be influenced by that image, but the characters all have clear human emotional lines.
In that scene where they escape from Kamakura on horseback, I re-recorded it many times, focusing on how to express Tokiyuki’s mixed emotions, such as whether he is facing forward or looking back with regret, and the sense of distance between the two characters. There were mainly a lot of directions given to Tokiyuki, but in the dubbing of that scene, I got the impression that the director wanted to bring out the human emotional lines quite clearly.
–Through the dubbing, you were able to understand the direction.
Nakamura: That’s right. It felt like the direction was clearly presented, so it was interesting, and I felt that I had to act in this way from the second episode onwards. Also, the finished picture during the dubbing was impressive. It wasn’t 100% complete, but I could tell that a lot of effort had been put into it. When I saw the actual broadcast, I was surprised to see that the picture had been further polished.
–In fact, the response after the first episode was quite overwhelming.
中村:僕の周りだと、歴史好きの友達が本作を「面白い」と言っていました。歴史ものが題材の作品は決して少なくないとは思いますが、この時代を描く作品は珍しいじゃないですか。
――しかも味方側として描かれているのが、北条という。
中村:ですね。史実に基づいてストーリーが展開していくなかで、北条側に視点が置かれているというのも、歴史好きの方が本作に興味を持ってくれたポイントだと思います。一方で、例え話をするときは、現代のことに置き換えて説明している場面もあるじゃないですか。ああいうところは、歴史が現代に繋がっていることをメッセージとして伝えているようにも感じます。松井先生なりのメッセージの入れ方が面白いですし、上手だなとも思いました。
――アニメの絵がブラッシュアップされていたというお話もありましたが、実際にオンエアを見ての感想を改めて教えてください。
中村:すごくいいなと思ったのは色彩ですね。青空が本当に綺麗なんですよ。あの時代はビルもないですし排ガスもないから、そりゃ空も綺麗で広く見えるはずなんです。ただ、それを制限された画角で表現するのは、かなり大変だと思うんですよね。何かしらの工夫をしなければいけないんでしょうけど、それがしっかりとできていて、空が映る度に綺麗だなと感じていました。
こういった演出をはじめ、本作はアニメとして見やすいものを作るという挑戦をしている作品だと感じています。その代償として、アフレコがめちゃくちゃ長期にわた渡りましたが(笑)。でも、ただ収録を先延ばしにしていた訳ではなくて、その間にコンテや演出をスタッフの方々が必死に練っていたんだと思います。その結果が、第一回の反響にも繋がったんだと思いますね。
――お話を聞いていて、アニメはって原作の面白さをそのまま生かすということももちろん大事ではあると思いますが、それをどう見せるのかという演出の部分も、すごく大切なんだと改めて感じました。
中村:大切だと思います。漫画って、基本的には連載されている雑誌を買うか、コミックスを買って読むしかないんです。つまりは、自分から動かないと読むことがほとんどない。一方でTVアニメは、何となく流れていたものを見る方もいるという意味で、一方的に与えることが可能な媒体な訳ですよ。そうなったときに、どう見せるか考えてカスタムするのは、とても大事な気がします。
――アニメを通して、演じる頼重の印象は変化しましたか?
中村:大きく変わることはありませんでしたが、演じているときに監督・音響監督さんから、ある意味で時行にとっての父親のような一面があるというニュアンスのディレクションがあったんです。原作を読んで僕は頼重を「導いていく人」と捉えていたのですが、彼のポジショニングって、それだけじゃないんですよね。
時代が違うとはいえ、あの年齢の子供がいきなり一人ぼっちになったなら、そりゃ頼りたいものがある訳で。仲間という頼りももちろんありますが、彼の心の逃げ道として父親のような頼り方ができる存在も必要なんだと、ディレクションを受けて感じました。そこからキャラクターのアプローチの仕方を修正したんです。
――親心というか、親みたいな愛情を時行に向けている。
中村:そうですね。最初に原作を読んだときは、ビジネスライク寄りの愛情なのかなと思っていました。実際、スタートはそういう気持ちだった気もしますが、だんだんと時行に惹かれたんだと思います。
――物語が進むごとに、徐々に愛情が深くなっている。
中村:そうだと思います。第一回や第二回の段階では、どちらかと言うとまだ「逃がしたうえで、担ぎ上げて鎌倉を奪還しよう」という気持ちのほうが強い気がします。同じくらいの立場にいる者なら、彼じゃなくてもいいくらいの気持ちだったかも。ただ、実際に時行と会って話してみて、彼の人柄に惹かれていったんだと思います。
――先ほどディレクションのお話もありましたが、本作は時間をじっくりかけて収録する現場だったとお聞きしました。
中村:確かに、収録に時間がかかる回もありましたね。それは、ダラダラとしていた訳ではなく、アフレコ現場で生まれるものがあるからという時間のかけ方だったと感じています。
――亜也子役の鈴代紗弓さんは、1行、1行レベルでディレクションしてもらうときもあったとお話されていました。
中村:例えば2行のセリフがあったとしたら、「1行目はこれが伝えたいけれど、2行目はこういうことが言いたいんだよね。だから、1行目と2行目で言葉の伝え方を切り換えてください」というディレクションがありました。セリフを感情任せに言うのではなく、制御を入れてやって欲しいという感じでしたね。
――なるほど。
中村:あとは戦いに近いシーンのときは、「常に気を抜いたら死ぬという危機感を持ってセリフを喋ってください、リアクションを取ってください」というディレクションもありました。バカな話をしていたとしても、明日は死ぬかもしれないという何かを感じさせる表現を入れて欲しいというのは、死と隣り合わせの時代を描く作品ならではですよね。現代劇の高校生の物語で、明日死ぬかもという危機感を持って喋るキャラクターなんて、たぶんいないと思います。時代背景を考えたうえでの言葉の紡ぎ方も大事にしている作品でした。
――あの時代は、宴会をやっているときに命を狙われる可能性もありましたからね。
中村:あり得ますもんね。いま目の前にある飲み物はマネージャーからもらいましたけど、マネージャーが僕を殺す気なら、これに毒を入れているかもしれないじゃないですか(笑)。実際、あの時代はそういう警戒心を持っていたり、意識を張り巡らせたりしなきゃいけなかったんだと思います。
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